季節性の気分の乱れを和らげるエッセンシャルオイル

寒くなり、日照時間も短くなると、気分が沈んだり、やる気が出なかったり、何となく憂鬱になることがあります。これは季節性の気分の乱れで、普段は健康な人でも経験することがあります。

 

多くの研究で、エッセンシャルオイルに含まれるリナロール、リモネン、酢酸リナリル、ピネンなどの芳香成分が不安やうつに効果的だとされています。実際に、アロマテラピーで、うつ病や不安を和らげる効果があるとして長年愛用されてきたエッセンシャルオイルは、こうした成分を含むものでした。これは、その薬理効果が証明されているだけでなく、抗不安薬や抗うつ薬の副作用によって生じる眠気やめまい、特に高齢者の転倒や認知機能低下などのリスクを避けるためでもあります。*

 

例えば、リナロールと酢酸リナリルを多く含むラベンダーは、不安や抑うつなどメンタルの不調に最もよく使われているエッセンシャルオイルです。そして、WHO(世界保健機関)、ESCOP(欧州植物療法科学協同組合)、EMA(ヨーロッパ医薬品庁)といった機関も、こうしたラベンダーの薬理作用を公に認めています。**

 

ラベンダーの優しい香りはストレスを和らげ、就寝前に香りをかぐと質のよい睡眠に導いてくれますし、レモンやスイートオレンジなどのシトラス系のエッセンシャルオイルにはリモネンが多く含まれており、気分をリフレッシュさせてくれます。***

また、樹木系のエッセンシャルオイルは、お部屋に居ながら森林浴をしているような感覚が味わえ、部屋の空気も清浄になります。

 

芳香浴(エッセンシャルオイルをディフューザーで部屋に拡散させる)は手軽にできるアロマテラピーで、複数のエッセンシャルオイルをブレンドすると異なる効果を相乗的に享受することができます。例えば、シトラス系のエッセンシャルオイルをベースに、ラベンダーやゼラニウム、イランイランなどをブレンドすると、より豊かな香りが楽しめます。

 

Reference:

* Lizarraga-Valderrama LR. (2020). Effects of essential oils on central nervous system: Focus on mental health. Phytother Res, 35(2):657-679.

**López V, Nielsen B, Solas M, Ramírez MJ, & Jäger AK. (2017). Exploring Pharmacological Mechanisms of Lavender (Lavandula angustifolia) Essential Oil on Central Nervous System Targets. Front Pharmacol. 8:280.

***Favela-Hernández, J. M. J., González-Santiago, O., Ramírez-Cabrera, M. A., Esquivel-Ferriño, P. C., & Camacho-Corona, M. R. (2016). Chemistry and Pharmacology of Citrus sinensis. Molecules, 21(2), 247.