第7回 ローズマリー・シネオール Rosmarinus officinalis BS 1,8-cineole

全ての吸収ルートが使えるエッセンシャルオイル

■科名:シソ科

■抽出部位:花が咲いている全草

■抽出方法:水蒸気蒸留法

■特性成分:

1,8-シネオール(モノテルペン・オキサイド類)30~45%

カンファー(ケトン類)6~15%

α-ピネン(モノテルペン類)6~15% など

 

■特徴

ローズマリーはタイムなどと並んで、代表的なケモタイプ(学名が同じでも生育条件、つまり産地などによって精油の含有成分が異なる)の精油です。

 

学名で分類することができないので、学名の後に、そのローズマリーに特徴的な成分を付けて、ローズマリー・シネオール(1,8-シネオールを多く含むローズマリー)、ローズマリー・ベルベノン(ベルベノンを多く含むローズマリー)、ローズマリー・カンファー(カンファーを多く含むローズマリー)と慣用的に呼ばれています。

 

アロマテラピーでよく用いられるのは、慣用名でローズマリー・シネオールと呼ばれる1,8-シネオールの含有量の多いものと、ローズマリー・ベルベノンと呼ばれるベルベノンの含有量の多いものです。

 

ローズマリー・カンファーと呼ばれる精油も市場に多く出回っていますが、その名前の通りカンファー(樟脳)が多く含まれる精油なので、アロマテラピーではあまり用いられません。カンファーはケトン類に属する芳香分子で、日本でも樟脳という名前で昔からタンスの防虫に用いられてきました。神経毒性と肝毒性があるため、取扱いに注意が必要です。しかし、その問題意識はまだまだ希薄で、巷では「ローズマリー」「Rosemarinus officinalis」としか表記されていない素性不明の精油が流通しています。

 

ローズマリー・シネオールは、モロッコ、チュニジア、インドなどの地域に見られます。カンファーのにおいがマイルドで、1,8-シネオールのさわやかな香りが特徴です。安全に使用できる精油の一つで、皮膚塗布(マッサージ)、芳香浴、内服、坐薬のすべての吸収ルートを用いることができます。

 

ローズマリー・シネオールは、気管支肺領域のトラブルに欠かせない精油です。サイプレスとブレンドすると去痰作用が補強され、咳を速やかに鎮めます。ユーカリ属の精油(ユーカリラジアタやユーカリグローブルス)とブレンドすると呼吸器系のトラブルに有効です。

 

耳鼻咽喉領域にも最適で、ニアウリやラベンダーとブレンドすると、特に若年層の感染症に有効とされています。また、ラヴィンサラ、ユーカリラジアタ、ニアウリとブレンドすると免疫能を刺激して、抗インフルエンザ的な作用を発揮すると言われています。

 

経皮吸収(皮膚塗布やマッサージ)で用いることの多い精油ですが、経口あるいはディフューザーを用いた芳香浴にも向いています。香りもマイルドなこの精油は、芳香浴には最も適したタイプのローズマリーです。1,8-シネオールの香りが心身をリフレッシュさせます。ラヴィンサラとも相性がよく、風邪や花粉の時期の芳香浴に最適のブレンドとなります。

 

ローズマリー・シネオールは毒性がなく、他の精油ともよく調和し、また、それらの特性を補完します。 

 

■主な作用

・痰を切り咳を鎮めます。

・肝臓の働きをよくします。

・血液の流れをよくします。

・抑うつ的な気分を晴れやかにします。

・脳を刺激して活動を高めます。

・筋肉の働きをよくします。

・痛みを鎮めます。

 

■備考

1,8-シネオールが多く含まれるタイプのローズマリー、つまりローズマリー・シネオールは、毒性も刺激性もないため子供にも使用でき、他の精油ともブレンドしやすい利用価値の高い精油です。

ローズマリー・シネオールのセルフケアはこちらです。