■科名:セリ科
■抽出部位:種子
■抽出方法:水蒸気蒸留法
■特性成分:
リナロール(モノテルペン・アルコール類)60~70%
α-ピネン(モノテルペン類)5~8%
γ-テルピネン(モノテルペン類)4~7% など
■特徴
コリアンダーの種子だけを水蒸気蒸留して得られたコリアンダー・シードと呼ばれる精油は、開花前の全草、花が咲いている全草、花と実が付いた全草を蒸留したものとは成分が異なり、作用も使用法も異なります。
コリアンダー・シードはリナロールを多く含み、皮膚塗布に用いられますが、熟す前のまだ青い実の付いた全草を蒸留したものはアルデヒド類を多く含み、特に消化器系のトラブルに優れた効果があり、使用法も飲用が最適とされています。
コリアンダー・シードに含まれているリナロールは、ラベンダーなどに含まれているリナロールとは異なり、トニック作用があります。甘いシトラス調の香りがします。
リナロールには鏡像異性体があり、ラベンダーやベルガモット、クラリセージなどに含まれているのは(R)体のリナロールで、抗不安作用や鎮静作用があります。一方、コリアンダーやパルマローザなどに含まれているリナロールは(S)体で、疲労回復作用や強壮作用があります。
コリアンダーは実が熟すほどにリナロールが増え、逆にアルデヒド類の含有量は減少します。コリアンダーは、どのような生育段階で収穫したのか、また、どの抽出部位を蒸留したのかを確認することが必要な精油です。
種子(熟した実)を蒸留したコリアンダー・シードの精油は、女性の生殖器やリンパ循環のトラブルのケアに用いられます。リンパの流れが悪く、新陳代謝に伴う老廃物の排出がうまくいかずに組織に蓄積すると慢性的な炎症の原因となりますが、コリアンダー・シードはリンパの流れを良くすることによって老廃物の排出を促します。
コリアンダー・シードに多く含まれるモノテルペン・アルコール類は、血液やリンパ液の循環を促す作用に優れ、セルライトの原因となるリンパ系のうっ滞を改善します。故に、コリアンダー・シードが欠かせない最もポピュラーなセルフケアのレシピは、リンパドレナージュや腹部や腰、脚のスリミングに用いられるものです。
ローリエ、パルマローザまたはレモングラスといった、いずれもリンパの流れを促す作用に優れた精油とブレンドし、マッサージしやすいよう植物油を加え、リンパドレナージュ、または痩せたい部分のマッサージに用います。
また、コリアンダー・シードは資源枯渇により現在入手困難なローズウッドAniba rosaeodoraの代替精油としても使うことができます。
コリアンダー(香菜、パクチーとも呼ばれる)は生のハーブが料理に使用され、その個性的な香りは人によって好き嫌いがありますが、コリアンダーの種子から抽出されたこの精油は、生のハーブとはまったく性質の異なる香りで万人に好まれます。
<参考>
Coriandrum sativum SD/DO whole plant with flowers(抽出部位=花咲全草)
特性成分:
トランス-2-デセナール(アルデヒド類)40~50%
リナロール(モノテルペン・アルコール類)15~20%
デカナール(アルデヒド類)10~15% など
※花が咲いている全草から抽出されたコリアンダーの精油は、主に飲用に使われます。
コリアンダー・シードのセルフケアはこちらです。