第10回 レモン Citrus limon

柑橘類では最も利用範囲の広い精油

レモンCitrus limonの写真

■科名:ミカン科

■抽出部位:果皮

■抽出方法:圧搾法

■特性成分

リモネン(モノテルペン類)65~75%

β-ピネン(モノテルペン類)8~14%

γ-テルピネン(モノテルペン類)5~12% など

 

■特徴

レモンをはじめとする柑橘(Citrus属)類の精油 1)は、果皮を直接圧搾することによって得られます。

 

圧搾法で得られた精油は、水蒸気蒸留法で得られた精油よりも品質保持期間が短いので、冷暗所で保管し、半年を目安に早めに使い切るようにします2)

 

品質の良い天然の精油は、生の果皮を絞ったときに一瞬鼻腔を刺激するフレッシュで心地よいあの香りがします。開栓後は冷暗所で保管し、香りが変化したら使用を止めるべきです2)。劣化するとツンと鼻を刺すような臭いに変化するのですぐにわかります。

 

グレープフルーツにしろ、スイートオレンジにしろ、一般的に柑橘類の精油は香りが良く、万人に好まれるものの、薬理学的に見てこれといった治療特性がないものがほとんどです。しかし、レモンは例外で、香りも味覚もよい上にアロマテラピーには欠くことのできない様々な作用特性を備えた重要な精油です。

 

レモンの精油には、リモネン、β-ピネン、γ-テルピネンなどのモノテルペン類が豊富に含まれています。抗炎症作用、抗菌・抗真菌・抗ウイルス作用、肝保護・解毒作用、肝細胞を再生する作用、血糖値を下げる作用、脂肪分解作用とコレステロールを下げる作用、消化器系の働きをよくする作用、抗癌作用、抗酸化作用、抗アレルギー作用、抗寄生虫作用などがあるとされています(Citrus limon (Lemon) Phenomenon—A Review of the Chemistry, Pharmacological Properties, Applications in the Modern Pharmaceutical, Food, and Cosmetics Industries, and Biotechnological Studies, Marta Klimek-Szczykutowicz, Agnieszka Szopa, Halina Ekiert, Plants (Basel). 2020 Jan; 9(1): 119.)。

 

セルフケアに使えるのは、いわゆる疲労回復の効果でしょう。蜂蜜との相性は味覚的にも良く、ヨーグルトなどに加えると美味しくなります。実際、ヨーロッパでは品質の確かなエッセンシャルオイルはサプリメントとして販売されています。精油は生のレモンのようにポストハーベスト農薬(防かび剤等)の心配もありません。適量を使用すれば、料理や製菓で果皮の風味を存分に楽しむことができます。

 

ところで、紅茶にレモンの精油を垂らして飲むのはどうでしょうか? というご質問をいただきますが、精油は油と似た性質で、水とは混ざりませんし、特に、ホットティーの場合は、熱で揮発が促されるため、おすすめできません。油脂をベースにすると使いやすくなります。食用油に加えてドレッシングに、あるいはバターや生クリームに加えるなどが適した使い方です。

 

ディフューザーを使った芳香浴にも適しています。他の柑橘類の精油とブレンドし、また、シナモン、ペパーミンなどを隠し味ならぬ「隠し香」的にごく少量加えるなどして、空気の清浄作用に優れた好みのディフューザー・ブレンドを作るのもよいでしょう。イランイランやゼラニウムとブレンドするとすっきりした香りになります。

 

1)正確には水蒸気蒸留ではなく、圧搾によって抽出された精油はエッセンシャルオイルではなく“エッセンス”と言います。

 

2)油汚れを落とす作用に優れていますから、破棄せず、台所のレンジ周りなどの掃除に利用するとよいでしょう。しかしながら、掃除に最も適しているのはスイートオレンジです。油と似た構造のリモネンという成分が93~95%も多く含まれているからです。

 

■主な作用

・ さわやかな香りが心身をリフレッシュさせます。

・ 肝臓の働きをよくして疲労回復を促します。

・ 血液をサラサラにします。

・ 空気を清浄にします。

 

■備考

圧搾法で抽出したレモンなどの精油に含まれる色素や、フラボノイドなどの不揮発性の物質が、ビンの底に沈澱する場合があります。異物と間違われることがありますが、もちろん品質にはまったく影響はなく、天然物たる所以です。

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