第18回 ローズ Rosa damascena

■科名:バラ科

■抽出部位:花

■抽出方法:水蒸気蒸留法

■特性成分:

シトロネロール(モノテルぺン・アルコール類)30~45%

ゲラニオール(モノテルペン・アルコール類)10~20%

ネロール(モノテルペン・アルコール類)7~10% など

“癒し”と“魅惑”の香りを有する ローズ 。エッセンシャルオイルの女王とも形容されるのがロサダマスケナ Rosa damascenaです。

 

ローズのエッセンシャルオイルは、最も高価で稀少なことからダイヤモンドにも喩えられます。その芳香は万人を魅了する心地よさを持つと同時に、扱い方によって表情を変える気難しげなトーンも秘めています。

 

混ぜ物がない本物のローズのエッセンシャルオイルは香りがとても濃厚で、ビンのふたを開けてそのまま香りをかぐと、きつくむせかえるようで、こちらの期待を裏切られたような印象を受けます。

 

しかし、1滴にも満たない微量を、ムイエット(芳香試紙)やティッシュあるいは手首などに垂らし、やや間をおいて香りをかぐと、天然のローズのエッセンシャルオイルだけが有するすばらしい芳香を楽しむことができます。使用する側のデリカシーによってはじめて、ローズは秘められたその本来の姿を垣間見させてくれるのです。

 

とてもデリケートなエッセンシャルオイルですから、ビンの口のところ(ドロッパー)に指が触れないよう、注意が必要です。ストレスでイライラしているとき、不安で気分がふさぎがちなとき、微量を手首や首筋に塗布し、香りを味わうようにゆっくり吸い込みます。

 

ローズRosa damascenaの主要な成分はモノテルペン・アルコール類ですが、ステアロプテンと呼ばれるロウ成分が10~20%を占めています。ステアロプテンは20℃以下になると結晶化するので、気温が下がるとローズのエッセンシャルオイルは混濁して固体になります。ボトルを手で温めると再び液化し、ドロッパーから滴下できるようになります。

 

ローズオットーとも呼ばれる水蒸気蒸留で抽出するローズのエッセンシャルオイルは、2段階に分けて蒸留が行われます。

最初は花を水蒸気蒸留します。そして、このときに得られた芳香蒸留水(フローラルウォーター)には多くの芳香分子が含まれているため、その芳香分子を抽出するために芳香蒸留水を蒸留します。つまり、ローズは2回の水蒸気蒸留で得られたエッセンシャルオイルを合わせたものです。Rosa damascenaの収油率は約0.025~0.033%で、1gのローズのエッセンシャルオイルには約3,000~4,000個の花が必要です。

 

ステアロプテンは香りもない成分で、不要な存在かと思われがちですが、傷の治りを促す作用などもあり、ローズのエッセンシャルオイルにはなくてはならない成分です。また、水蒸気蒸留されたローズのエッセンシャルオイルである証しにもなっています。

 

 

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