花粉対策の注目成分

花粉症の季節となりました。ユーカリグローブルス、ユーカリラジアタ、ローズマリー・シネオール、ラヴィンサラ(1,8-シネオールが多いタイプ)、ペパーミントなどのエッセンシャルオイルの香りには清涼感があり、鼻や喉、気管支の症状に心地よく感じ、症状が緩和されることは経験的によく知られていますが、最近では、こうした経験を科学的に裏づけるさまざまな研究が発表されています。

 

花粉症対策に有効なエッセンシャルオイルには、共通して1,8-シネオール(ユーカリプトール)、メントール、メントン、テルピネン-4-オール(4-テルピネオール)、α-テルピネオールといった成分が含まれています。

 

1,8-シネオールは従来から、気管支炎、副鼻腔炎など、いわゆる上部・下部気道疾患風邪症状に医療分野で伝統的に使われてきた歴史があります。アレルギー抑制作用(アラキドン酸代謝抑制、サイトカイン産生抑制)があり、気管支喘息の患者さんに投与した実験では、忍容性が高く、重篤な有害事象や血液検査でも異常は認められませんでした。喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんの治療に有用であることが示唆されています。また、ヒスタミン遊離抑制作用も認められています。

 

メントールはハッカの清涼感のある成分で、香りが爽やかなだけでなく、ヒスタミン遊離抑制作用が認められています。ペパーミントにはメントンも含まれていますが、メントンにも同作用があります。

 

ティーツリーやマジョラムに含まれるテルピネン-4-オールやラヴィンサラなどに含まれるα-テルピネオールには、炎症性サイトカインの産生を抑制することによって、アレルギー反応を緩和する作用があるとされています。

 

これらのエッセンシャルオイルをブレンドして、

① ハンカチやティッシュに数滴垂らして香りを口と鼻から呼吸する

② お湯を入れたマグカップに2~4滴垂らして吸入に用いる

③ マスクの外側に2滴ほど塗る

などを行うと、手軽に症状を緩和することができるでしょう。

 

3種類程度のブレンドなら手軽にできます。

ユーカリラジアタ2滴+ペパーミント1滴+ティーツリー(またはラヴィンサラ1滴)

 

Reference:

 Juergens, U. R., Dethlefsen, U., Steinkamp, G., Gillissen, A., Repges, R., & Vetter, H. (2003). Anti-inflammatory activity of 1.8-cineol (eucalyptol) in bronchial asthma: a double-blind placebo-controlled trial. Respiratory research, 97(3):250-256.

 Juergens, U. R., Engelen, T., Racké, K., Stöber, M., Gillissen, A., & Vetter, H. (2004). Inhibitory activity of 1,8-cineol (eucalyptol) on cytokine production in cultured human lymphocytes and monocytes. Pulmonary pharmacology & therapeutics, 17(5):281-287.

 Arakawa, T., Shibata, M., Hosomi, K., Watanabe, T., Honma, Y., Kawasumi, K., & Takeuchi, Y., Anti-Allergic Effects of Peppermint Oil, Chicle and Jelutong. (1992). Journal of the Food Hygienic Society of Japan. 33(6):569-575.

 Nogueira, M. N. M., Aquino, S. G., Rossa Junior, C., & Spolidorio, D. M. P. (2014). Terpinen-4-ol and alpha-terpineol (tea tree oil components) inhibit the production of IL-1β, IL-6 and IL-10 on human macrophages. Inflammation Research, 63(9), 769-778.