精油の使用期限と品質を保つ方法

「開栓した精油はどのくらいもつの?」「開けてからだいぶ経つけど、まだ使えるのかな?」 不安に思われる方も少なくないようです。使用期限の目安と品質を保つ方法について紹介いたします。

 

<使用期限について>

精油はたくさんの種類があり、それぞれ性質が異なりますから、ひと括りにして何年と言うことはできません。また、保管状態によってもかなり異なります。

 

1)圧搾法で抽出された精油について

柑橘系の果皮から圧搾によって抽出された精油(エッセンス)、例えばレモンCitrus limonum SD/DO peelやスイートオレンジCitrus sinensis SD/DO peelなどは、リモネン(モノテルペン類)という成分が多く含まれるので酸化しやすい精油です。

 

酸化した精油はツンと鼻を刺すような不快臭を放つので、すぐにわかります。これらの精油は開栓したら冷暗所に保管して3~6ヶ月ぐらいで使い切るのが理想です。

 

2)水蒸気蒸留によって抽出された精油について

水蒸気蒸留によって抽出された精油(エッセンシャルオイル)はエッセンスよりも長く保管することができます。精油の構成成分によって保持期限は異なります。

 

サイプレスCupressus sempervirens SD/DO leafy branchesやジュニパー・ブランチJuniperus communis SD/DO leafy branchesなど、ピネン(モノテルペン類)を多く含む精油は開栓後3年位です。

 

ラベンダーLavandula angustifolia SD/DO flowerやプチグレン(ビターオレンジ・リーブス)Citrus aurantium SD/DO leavesなど、エステル類を多く含む精油は、開栓後3年以上は品質保持できます。

 

レモングラスCymbopogon citratus SD/DO leavesやコリアンダー・シードCoriandrum sativum SD/DO seedsなど、アルデヒド類を多く含む精油は、開栓後3年位です。

 

フェノール類、モノテルペン・アルコール類、セスキテルペン類、オキサイド類を多く含む精油は開栓後5年位です。例えばサンダルウッドSantalum album SD/DO woodなどは製造後80年以上経ったものが分析されたことがありますが、変質していないことが科学者によって確認されています。むしろサンダルウッドは酸化したほうが香りがよくなるという性質があります。

 

精油は冷暗所で保管された場合、開栓前の状態ではほとんど酸化は進みません。ボトルの蓋を開けたときから酸化は始まると思ってください。ボトルの蓋を開ける回数が多いほど、また、ボトルの中身が少なくなればなるほど酸化は進みます。

 

<酸化を防ぐ方法>

長期間保存したい場合は、アルゴンというガスの入った酸化防止スプレーを使うのがよいと思います。アルゴンは空気中に含まれている気体で、無味・無臭・無色の他の物質と反応しない不活性ガスです。欧米では食品等の品質保持に安全に使用されてきた実績があります。

 

日本では昨年(2019年6月)、アルゴンガスが食品添加物として認められ、飲み残しのワインの品質をキープするためのスプレーが市販されています。

 

食品添加物として認められている窒素ガスを封入してもよいのですが、窒素は空気よりも軽いのでボトルへの収まりが悪いのが難点です。アルゴンは空気よりも重いので、ボトルの中に収まりやすいという利点があります。エッセンシャルオイルだけでなく、植物油の保持にも利用できます。

 

精油は熱、空気、光によって劣化が進みます。ですから、光の当たらない涼しい場所(常温)で保管することが大切です。窓際や車内への放置にはお気をつけください。ガラス窓の輻射熱によって高温になる可能性があります。

 

一方、冷やしすぎも禁物です。例えば、冷蔵庫は常温との温度差が大きく、ボトル内で結露を起こす可能性があります。結露(水)は精油の劣化を促す要因となります。

 

また、ドロッパー(中栓)に手指が触れないようにし、使用後はドロッパーや蓋の内側に溜まった精油を清潔なティッシュなどで拭っておくと、最後まで気持ちよく使えます。

 

Reference:

E. J. Brunke and F. J. (1988) "Hammerschmidt, Constituents of East Indian Sandalwood Oil - An Eighty Year Long “Stability Test.” "Dragoco Rept., (4) pp.107-113.

ジャン・マルク・スーリエ,『エッセンシャルオイルとエッセンスの品質保持期限はどれくらい?』Natural Medicine 9, pp.1-3