生理前の不調を緩和する柚子の香り

今年の冬至は12月22日(金)です。日本の風土と季節の美しさが凝縮された冬至の柚子湯。その香りは深い安らぎと心地よさをもたらします。

 

さて、柚子Citrus junosの香りは生理前の不調を緩和する可能性が研究によって示唆されています。この研究では、20代の女性17人が柚子の香りとラベンダー(対照群)の香りを使用して芳香浴を行い、自律神経活動を反映する心拍変動(HRV)と緊張、抑うつ、怒り、活気、疲労、混乱の6因子が同時に測定できる心理検査(POMS)が実施されました。

 

その結果、わずか10分間の柚子のエッセンシャルオイルの芳香浴(吸入)が、生理前(黄体期)の心拍数を減少させ、副交感神経活動を優位にすることが示されました。さらに、心理検査では、緊張-不安、怒り-敵意、疲労などのPMS(月経前症候群)が有意に減少し、35分後には気分障害も改善されたことが明らかになりました。これらの効果は、ラベンダーLavandula angustifoliaの効果と比較しても遜色ないとされています。

 

柚子湯には生の柚子が使用されますが、湯船に入れ過ぎたり、果実を揉んだりすると果皮に含まれるリモネンなどの成分が皮膚の敏感な部分を刺激し、ピリピリ感や赤み、かゆみが生じることがあります。柚子湯でこうした刺激を感じた場合は、石鹸を使ってやさしく洗い流すようにしてください。

 

ですから、柚子のエッセンシャルオイルは直接湯船に垂らすのを避け、芳香浴に用いるのが適しています。

 

ちなみに、柚子にはベルガモットCitrus bergamiaのような光毒性(直射日光に当たるとシミの原因になる)はないとされています。

 

Reference:

Matsumoto T, Kimura T, Hayashi T. (2017). Does Japanese Citrus Fruit Yuzu (Citrus junos Sieb. ex Tanaka) Fragrance Have Lavender-Like Therapeutic Effects That Alleviate Premenstrual Emotional Symptoms? A Single-Blind Randomized Crossover Study. J Altern Complement Med, 23(6):461-470.