第9回 ペパーミント Mentha piperita

清涼感だけではない優れたペパーミントの効果

■科名:シソ科

■抽出部位:花咲全草

■抽出方法:水蒸気蒸留法

■特性成分

メントール(モノテルペン・アルコール類)30~40%

メントン(ケトン類)20~30%

メンチル・アセテート(エステル類)5~12% など

 

■特徴

 

シソ科Mentha(ハッカ)属の植物は、優れた効能のある薬草として古くから世界のあらゆる文化圏で親しまれてきました。Mentha属には多くの種があり、分類も容易ではありません。

 

古代ローマの学者プリニウスは著書『博物誌』の中でその薬効について次のように記しています。「ハッカの香りは頭をスッキリさせ、その味覚は食欲を刺激する……。頭痛にはハッカで作ったローションをこめかみに塗り、胃の痛みには乾かして粉にしたものをひとつまみ口にすれば痛みが鎮まる。また、それを飲み物に混ぜて飲めば虫下しにもなる」。

 

Mentha属にはとても多くの種があり、その上、さまざまな雑種が入り乱れ、分類が非常に難しいと言われています。その中で優れた効能と幅広い用途から、アロマテラピーに欠くことのできない基本の精油の一つとして知られているのがペパーミントです。

 

ペパーミントの精油は、モノテルペン・アルコール類のメントールとケトン類のメントンを主成分としていますが、この2つの成分の含有率(%)を比べて、メントールのほうが多く含まれるものがアロマテラピーには安全で、その精油の品質も良いとされています。

 

強い清涼感のある香りが気分をリフレッシュさせるのと同様、ペパーミントには身体の組織を刺激し、生理機能を活発にする作用があります。長期に及ぶ抗生物質による治療や感染症などの病気で身体の機能が低下している人の回復を助けます。

 

また、特筆すべきは、頭痛を鎮める効果です。頭痛に悩んでいる人は少なくありませんが、日本人の場合、緊張型頭痛では人口の約2割、片頭痛は約1割にも上り、3~4人に1人が頭痛持ちということになります。

 

緊張型頭痛にせよ片頭痛にせよ、ペパーミントを額からこめかみにかけて塗ると、ひんやり感じる清涼感が気持ちいいです。ただし、つけ過ぎると清涼感を通り越してヒリヒリとした強い刺激となってしまうので、使用量は1~2滴にとどめます。

 

緊張型頭痛の場合は、痛み止めとして一般的によく用いられるアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)の効果と遜色なく、有害現象もないことが証明されています*。

 

そして、片頭痛の場合には、1.5%濃度のペパーミントの精油を経鼻投与した場合に、頭痛の強さと頻度が大幅に減少し、約40%の患者の痛みがリドカイン(局所麻酔薬)と同様に緩和された。ペパーミントの経鼻投与は片頭痛の緩和に有効であると結論づけられる**ことが、二重盲検試験によって明らかにされています。

 

確かに、ペパーミントの爽やかな香りは、頭痛のときには特に心地よく感じますし、額や首筋に塗ると、清涼感が気持ちよく、凝りや痛みが楽になります。頭痛とまではいかなくても、花粉の飛散がもたらす頭重感にもペパーミントの爽やかな清涼感と香りは心地よいものです。

 

万一、ペパーミントの精油が目に付いてしまった場合には、台所にある植物油をティッシュなどにたっぷりつけて拭うとすぐに刺激が治まります。くれぐれも水で洗い流そうとしないようにしてください。

 

ペパーミントには、強い刺激を伴う清涼感があるので、目や粘膜、皮膚の弱い部分に付くと、強い清涼感を通り越して痛みとして感じこともあるので注意が必要です。皮膚に局所的に塗る場合は別として、必ず他の精油とブレンドして用います。

 

気分の悪いときや疲れたときだけに1滴飲むというような、少量かつ継続性のない使い方は例外として、継続的なケアに用いる場合は、配合率を大人は10%以下、子供は5%以下にします。

 

子供に用いる場合は1滴以内にし、他の精油と必ずブレンドします。ただし、5歳未満の幼児には使用しないでください。

ディフューザー(芳香拡散器)を用いて芳香浴を行う場合も、目や粘膜を刺激するので他の精油とブレンドして用います。

 

Reference :

*Göbel H, Fresenius J, Heinze A, Dworschak M, Soyka D., Effektivität von Oleum menthae piperitae und von Paracetamol in der Therapie des Kopfschmerzes vom Spannungstyp, Nervenarzt. 1996;67(8):672-681.

**Comparing the effect of intranasal lidocaine 4% with peppermint essential oil drop 1.5% on migraine attacks: A double-blind clinical trial, Mahmood Rafieian-Kopaei , Ali Hasanpour-Dehkordi , Zahra Lorigooini , Fatemeh Deris , Kamal Solati , & Faezeh Mahdiyeh, International Journal of Preventive Medicine 2019; 10: 121.

 

 ■主な作用

・ 心身に活力を与え、リフレッシュさせます。

・ 肝臓の働きをよくします。

・ 胃腸の働きを活発にし、消化を助けます。

・ 吐き気を抑えます。

・ 痛みを鎮めます。

ペパーミントのセルフケアはこちらです。